金庫の中身が入れ替わっていた事件

皆さんは「大事に保管しておいたはずの品物」が、急に無くなったり、入れ替わったりしたらどんな気分がするでしょうか?この質問を、僕が大学のサークルの飲み会で出した時、大勢を占めた意見は「どちらにせよ、何とかして元の品を取り戻せるよう努力する」でした。
いくら通いなれたサークルの、何度もある飲み会の中での余興的な質問とは言え、僕が冒頭のような内容の問いを出したのには実は理由があるのです。

僕の実家は東北地方の山間にあり、はっきり言ってしまうと「ド田舎」と呼ばれても仕方のない地域です。バスは一日に4本しか来ませんし、他の公共交通機関なんてありません。実際、僕が進学のために東京に出てくる時には、そのアクセスの悪さに物凄く苦労した記憶があります。
しかし両親曰く、僕の家はそのような田舎の「顔役」を昔から務めてきており、「家の格はそれなりに高い」のだそうです。そのためか、うちには金庫が数多くあり、兄も僕も小さいころから手提げ式の金庫を親から与えられて、それに大事なものを入れておくよう躾けられました。

実際、僕たち兄弟はこの躾けの通り、自分の大事なものは手提げ金庫に入れていたのですが、ある時ちょっとした事件が起こったのです。
兄が自分の金庫に入れておいた中身が、いつの間にか入れ替えられてしまったのです。兄曰くは「大事なゲームソフトを入れていたら、参考書に変身していた」とのこと。
考えるまでもなく、これは合いカギを持っている父か母の仕業なのですが、二人とも兄の文句には全く取り合わず、「これを機会にゲームばかりするのではなく、勉強しなさい!」と開き直っていました。