私の家の金庫は床下

私の家は3世帯で同居している。私達夫婦と夫の両親、さらに夫の父の両親、つまり夫の祖父母だ。夫の祖父は昔町長をしていて、現在の町長は夫の父、つまり私の義父だ。私の夫はのんびりしていて今のところ町長になるつもりはないらしいけれど、これから先どうなるかなんて誰にもわからない。

とにかくそんな感じの家なので、町の中でも結構広く、人の出入りも激しい。出入りする人の中には、「お宅には金庫がないんですか?」などと不躾な質問をしてくる人もいるけれど、我が家には一見金庫はない。だから「うちは全部銀行の貸金庫に預けているんですよ」と言っておくことにしている。だけど実際には、我が家には金庫がある。それも結構大きくて重たいやつだ。

でもどうしてお客さんたちに気づかれないのか、それは私の家の金庫が床下にあるからである。実は人の出入りが一番多いリビングのガラステーブル、その下に床下金庫がある。だけど普段はそこにカーペットを敷いているため、誰にも気付かれていないのだ。町長一家でこの辺りではまあまあ有名なので、少しは用心しておかなくてはならないと、義父がわざわざ県外から業者を呼んで取り付け工事をしてもらったのだ。工事をしているときは、何もそこまでしなくても…と私は思っていたけれど、やはり出来上がってそこに貴重品をしまうと、何だかやっぱり心強い。金庫の開け閉めをするためには、ガラステーブルをどかし、カーペットをどかしと、結構な重労働になってしまうけれど、泥棒対策になると思えば頑張れる。それに火事が起きた場合にも、熱は高いところにいくため、下は燃えにくいのだそうだ。だから火事が起きても安心である。

中から物を取り出すのに一苦労するのと、設置にお金と時間がかかるといったデメリットはもちろんあるけれど、私はこの床下金庫、これから日本で流行りだすんではないかなと思っている。